成人式というと20歳になったお祝いに綺麗な着物を着て、写真を撮り、家族みんなにお祝いしてもらう嬉しい日。
ですが、私は『ここまで育ててくれた家族や親戚に逆に感謝の意を示したい』と思っていました。
そこで、サプライズとして、少し豪華な食事の場を設けることにしました。
場所は都内の4つ星ホテル。
なぜ、そこにしたかというと、七五三で私が3歳の時、私は初孫だったので親戚一同集まって盛大にお祝いした、思い出深い場所だったからです。
4つ星ホテルでの食事、親戚を含めたものとなると結構かかります。
私は大学1年生から始めたカフェのアルバイトでこつこつとお給料を少しずつ貯め、目標金額10万円を目指すことにしました。
保育学生だったため、朝から夜まで授業があったり実習が入ったりで、なかなか思うようにバイトができず、貯め終わるまで2年もかかってしまいました。
成人式の日、私は貯めた10万円を持って出発しました。
成人式は生まれ故郷(途中遠方に引っ越した)で参加するつもりだったので、着付けや写真の時間もあり、私だけ先に出発しました。
着付けが終わる頃、母が到着し、私の晴れ姿に嬉しそうでした。
お昼になり、いよいよホテルでのサプライズです。
招待された家族や親戚は、私の振袖姿を見て、涙を流し、お祝いしてくれました。
楽しい食事も終わる頃、母がこの食事の席が、私からの感謝の意であることを家族や親戚に伝えました。(母にだけ話してあったのです)
父や祖父母は驚きましたが、とても喜んでくれました。
そして、母からは
「成人式で自分がお祝いしてもらうのを当たり前と思う人が多い中、恩返しをしたいと思ってくれる娘に育ってくれて、とても嬉しいです。これからも大きく羽ばたいてください」
と嬉しい言葉をもらいました。
私の人生で初めての大金を使ったビックサプライズが最高の親孝行になったと思います。
私は親孝行をしてみて、人を喜ばせてあげることの心地よさを心の底から知ることができました。
たくさんのお金を使ったからとかではなく、家族や親戚がみんなで喜んでくれる姿は本当に嬉しかったです。
あの光景は、数年経った今でも鮮やかに私の記憶に残っています。
アルバイトでお金を貯めているときは、誘惑にかられ、
「もうこの計画はやめてしまおうか、他の人はお祝いされるだけなのに、どうして自分はこんなこと考えたんだろう?」
と思うことも何度もありました。
けれど、親孝行できるうちにやったほうが、
「あの時やらなかった…」
と、後悔せずに済むと思い励みました。
結果、今ではかけがえのない思い出です。
家族が一緒にいられる時間は思ったよりも短いです。
親孝行はできるうちにたくさんした方がいいと思いました。